亜鶴「CARTOON」展

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 谷町六丁目にあるspectrum galleryで3.18~28の日程で開催されていた亜鶴「CARTOON」展。関西を中心にしつつ、先だって原爆の図丸木美術館(埼玉県)で開催されて話題となった「私戦と風景」展の出展作家に名を連ねるなど着実に調子を上げてきている感のある亜鶴氏の、関西では久々となる個展。

 

 そんな亜鶴氏の作品は、グラフィティやタグといったストリートアート(という言い方が適当かどうかは議論の余地があるでしょうけど…)との連続性を観る側に強く意識させるようなカラーリングや生々しいストロークで人物を正面から捉えた絵画が多く、それは今回のCARTOON展でも同様でしたが、個人的には新作の小品二点に強く惹かれるところ。氏の人物画の特質の一つとして、輪郭などが素早いタッチのストロークに解体されていても眼はリアルに描かれていることをあげることができ、それが観る側に対するフックとなって強い印象を与えていると言えるでしょうが、これら(画像参照)ではその眼も記号的なものとなっている。そのことによって、画面は視覚的なフックを欠いたオールオーヴァーなものにより近しくなっているわけですが、ストリートの壁から直接切り取られたかのような生々しさと、ストロークやオールオーヴァーな構成が必然的に招来させる「(モダンモダニズム的な意味で)絵画的なもの」との緊張感が画面に横溢していて、かかるモダンモダニズムに相対的に親しい当方的にも瞠目しきりでした。

 

 キワモノかと思いきや、いやいやなかなか侮れません。今後に要注目。